商店街の店主で元理事長と懇談しました。和歌山市内の商店街の危機感を感じ取ることが出来ました。議論の要点は次の通りです。
「最近、行政と商店街の距離が遠くなったように感じています。意見を伝えようとしてもガードが固くて会うこともできませんし、最近は行政から商店街に来てくれることもなくなりました。これでは商店街もそうですが、まちの再生はできないと思っています。私が思うに行政は骨格で、商店街は細胞と血液です。箱モノを建設して骨格を整えることは大事なことですが、細胞が弱り血液も濁っているとすれば、外観や骨格は良くても身体は弱っていきます。生きるためにはどちらも大事だと思うのです。和歌山市の外観は整ってきていますが、内面はずっと弱ってきていると思います。細胞や血液は市民であり県民の生きがいや活力ことですが、最近、市民力は低下しているのではないでしょうか。
和歌山市に誇りを持っている、生活が豊かになっていると感じていることが市の活力につながるものです。果たして和歌山市に誇りを持っている人はどれぐらいいるのでしょうか。商売をしていて分かるのですが、多くの人は『私は私の事だけ関心があり、和歌山市のことは知らない』と思っているように感じています。
行政もこの感覚を共有していると思いますが、実態を知るには商店街に顔を出して欲しいと思います。役所内で報告書を読んでいるだけでは、真の実態が把握できないのでまちの再生に向けた対策も効果が少ないようなものに仕上がっていくと思います。
街は生きているものなので、毎日のように変化を見せています。日によって健康状態が異なるように、まちも景気や人の心によってまちの活力は違っています。長い目で見て和歌山市が元気である、商店街に活力があるとなるような行政の支援が必要だと思うのです。商店街は民間ですが、街を支える公共交通と同じような公共財だと思っています。街から商店街がなくなればどれだけ味気ないものになるのでしょうか。
百貨店が撤退した市は徐々に活力が失われていくように、商店街がなくなった市は活力が失われると思います。郊外型の県外資本による大型ショッピングセンターだけでは、市の活力も誇りも失われていくと思います。
どんな市にも文化と歴史がありますが、古くから市の文化と歴史と共に歩んできているのが地元商店街です。近年進出した郊外型の大型店ではないのです。寂れていると言っても私達は商店街が街の発展と共に築いてきた文化と歴史、何よりも地元に誇りを持っています。それは行政と協力して築いてきたものだと思っています。
その関係が薄くなっているのは民間の事業は民間でするのは当たり前だという時代の要請かもしれませんが、果たしてそんな関係で良いのでしょうか。地元の商店街に元気がない、この先は維持できない状態で放置していることは果たして正解なのでしょうか。今一度考えて欲しいテーマです。
もちろん商店街の悪さも知っています。行政が支援してくれようとしていることに対して、地元がまとまらなかったことや、内部で足の引っ張り合いをしてきたことは事実です。今もそのしこりは残っているかもしれませんが、まとめていきたいと思っています。
とにかく和歌山市の良くない特質として、批判や悪口が多いことや噂話が好きなことがあると思います。だからまとまらないのです。批判や悪口を言っている人がまとまるわけがないので、その体質を改善しなければと思っています。
街中に人が集まらない市に活力は生まれないと思いますから、行政との意見交換や将来のあり方を議論する場をつくって欲しいと願っています」ということです。
商店街の方から貴重な意見をいただきました。課題として認識して対応していきたいと考えています。
- 消滅可能性自治体の全国5位に位置付けられた和歌山県の現状と将来について話し合ったこと。人の交流、経済活動、大型の民間投資など大型のプロジェクトのような起爆剤が必要です。今の政策の延長線上に展望は開けませんから、あるべき姿に近づけるための構想を考えています。
- 士業の方々と、和歌山市の課題と経済再生の方策についての懇談会を行いました。消費喚起、需要創造の視点と投資について話し合いました。
- 地球環境問題に資する2027年問題への対応について複数の経営者と話し合いました。今期からの対応の必要性を感じています。